分岐型探偵・冒険

【親子で推理|シーズン1第4話】月のベンチにのこった三つの足あと

月のベンチから三方向へ続く足あとを、5歳・6歳の親子が形と歩き方で比べ、ネムと一緒に三つの気持ちを迎え直す足あと推理のお話です。

  • ネム

月見のあと、三人が消えた?

満月の夜、月のベンチには温かな毛布と三つの木の実茶が残されていました。土の上には、ベンチから森の三方向へ伸びる足あと。見回りのリスは「三人が別々に帰ったのかな」と心配しますが、どの道にも帰宅したという知らせがありません。

ネムは足あとに近づきすぎないよう、ランタンを低くしました。「人数を決める前に、同じところを探そう」。ベンチの背からは、感情を物語へ戻す「きもちのしおり」もなくなっています。前の音の事件はことばあそびの池で読めますが、必要な手がかりはこの話の中にそろっています。

形・間・深さを一つずつ比べる

三列のうち、気になるものから調べてください。足あとを踏まずに、目でたどるだけで進めます。

月花へ跳ねる足あと

一歩の間が広く、つま先は軽く外を向いています。けれど、かかとには小さな三日月のへこみ。木の実茶の香りがする花びらも付いていました。ネムは「うれしくて急いだ歩き方かもしれない」と考えます。

小川へ続く細いすじ

左右の足の間に、毛布の端を引いたような線があります。歩幅は狭いのに、三日月形のかかとは同じです。途中の石には涙に似た水滴が一つ。雨ではなく、まだ温かいしずくでした。

どんぐり門へ沈む足あと

土が深くへこみ、つま先が門の方へ強く向いています。三歩目だけ横へずれ、そばの枝が折れずに曲がっていました。怒って踏んだようでも、木を傷つけないよう避けた跡があります。

比べる所三列で同じ三列で違う
かかとの形小さな三日月なし
足の大きさ同じなし
歩き方なし跳ねる・引く・深く踏む

三つの道の先にいた一人

足あとは森の裏で合流し、月花の茂みへ続いていました。そこにいたのは、こじかのルル一人です。ベンチに残った木の実茶も、足あとと同じ三つでした。明日、仲良しの鳥が遠い森へ引っ越します。新しい旅を応援するうれしさ、会えなくなるさびしさ、もっと早く聞きたかった腹立たしさを、ルルはどれか一つに決めようとしていました。

ベンチで拾ったきもちのしおりを三つに折り、それぞれの気持ちで一本ずつ歩けば、最後に残った気持ちだけを持って帰れると思ったのです。しおりを渡したのは、月花の向こうに肩だけ見えた白い誰かでした。白い紙片が一枚残っていますが、顔も名前も分かりません。

「三つともルルの足あとだったんだね。気持ちは、一人の中にいくつあってもいいよ」とネムは言いました。

折り目を伸ばし、座れる場所を直す

きもちのしおりには三本の深い折り目が付いています。親子で、どの気持ちから声をかけるか選んでください。

  • うれしい足あとには「応援したいんだね」
  • さびしい足あとには「離れるのがいやなんだね」
  • 腹立たしい足あとには「急に聞いて驚いたんだね」

ルルが選んだ順に三つを話すと、しおりは月の光を吸い、ゆっくり平らになりました。ネムはそれをベンチの背に戻します。三方向へ裂けて見えた道も一本の帰り道に重なりました。

引きずられた毛布でベンチの座面がほつれていたため、ルルは月花の丈夫な糸を集め、ネムと一緒に縫い直しました。明日の見送りでは、三つの気持ちを書かなくても、三色の木の実を一つずつ置けるようにします。

見送りの朝に残ったもの

鳥が旅立つ朝、ルルは笑い、少し泣き、「もっと遊びたかった」とも言いました。どれかを消す必要はありませんでした。ネムは三つの足あとを事件の証拠ではなく、ルルが自分を知るための道として写し取ります。

読み終えたあと、歩かなくても指で次を選べます。

  1. 今の気分に近い足あとを一つ指す
  2. 三つ全部を指して「まざってる」と言う
  3. 今日は選ばず、月のベンチを想像して休む

親子で読む作品の一覧はおはなしポッケ探検隊に、ネムの紹介は森の仲間たちにあります。次は、夜空の形をしたパンを追うおはなしパン屋と消えた星のパンです。

保護者の方へ:感情当てにしなくてかまいません

足あとから考えた言葉と子どもの実感が違っても、合わせる必要はありません。「ネムにはそう見えたんだね。あなたはどう見えた?」と、物語と本人を分けて聞けます。話したくない様子なら、三色の物を並べる、毛布に触れるなど言葉以外の参加で閉じてください。

無料本文の中で、捜索、動機の理解、しおりとベンチの修復、見送りまで完了しています。感情カード等の追加資料を案内する場合は、子どもの心を判定する道具にせず、読後に保護者が選べる補助としてのみ扱います。