朝なのに、橋の先がもとの岸
森の朝市へパンを届ける日、ポンはわくわく橋の前で立ち止まりました。橋を渡ったはずのヤギのおじさんが、かごを抱えたまま同じ岸へ戻ってきたからです。もう一度歩いても、結果は同じ。橋は輪のように曲がり、出発した場所へそっと返してしまいます。
「ぼくが先に見てくるよ。こわくない、とは言えないけど……一歩なら出せる」
橋のたもとの案内板には、いつも道をまっすぐ保つ「みちのしおり」がありませんでした。前の事件を知りたい場合はきりかぶ図書館の第1話から読めますが、この話からでも大丈夫です。今日は橋を安全に渡れるようにすることが、ひとつの事件です。
行き方を選んで、足元の印を集めよう

橋板は途中で三つに分かれています。声に出して一つ選び、その段落を先に読んでください。あとで別の道へ戻っても、見つけたことは消えません。
木の実が並ぶ左の道
赤い木の実は「一つ、二つ、三つ」と増え、四つ目の場所だけ空いていました。ポンが自分のポケットから一粒置くと、板が短く「ことん」と鳴ります。手がかりは、数が続くと橋が前を向くことです。
丸い石が光る真ん中の道
石はどれも丸く見えますが、触ってみると、ざらざら、つるつる、ざらざらの順でした。次に来る感触を指で想像すると、霧が少し薄くなります。ここでは、目だけでなく手触りにも順番があると分かります。
青い風車が回る右の道
小さな風車は、前、横、前の順に向きを変えます。ポンが四つ目を前へ向けると、橋の向こうからパンの香りが届きました。この道が教えるのは、同じ向きが一つおきに戻るという印です。
| 道 | 見つけた印 | 親子で言えること |
|---|---|---|
| 左 | 木の実の数 | 次はいくつになりそう? |
| 真ん中 | 石の手触り | 次はざらざら、つるつる、どちら? |
| 右 | 風車の向き | 前の次に来る向きをまねしてみよう |
手がかりを合わせると、橋の約束が見える
ポンは三つの発見を橋の前に並べました。どれも「次に来るものが分かる」印です。ところが、みちのしおりが抜けた橋には、次が分かりません。迷った旅人を森の外へ出さないよう、橋自身が安全な出発点へ戻していたのです。
「いじわるで戻したんじゃないんだね。道が決まるまで、ここで待っていてってことか」
霧の向こうを、紙のように白い小さな影が横切りました。その胸元で、細長いものが一瞬だけ光ります。ポンが呼びかける前に影は消え、何者なのかも、なぜしおりを持つのかも分かりません。今は追わず、橋にいるみんなの安全を先にします。
ポンが橋へ作った「帰らない目印」
親子で、木の実、石、風車のどれを目印にするか選んでください。ポンは選ばれた印を橋板に等間隔に置き、一歩進むごとに「ここまで来た」と声にします。ヤギのおじさんは後ろから同じ言葉を返しました。
最後の板で霧がほどけ、二人は向こう岸へ着きました。恒久のしおりはまだ戻っていませんが、橋番さんが毎朝目印を点検すれば、だれも迷わず渡れます。ポンは橋の両側に待ち合わせ用の丸いベンチも置き、一人で踏み出せない日は仲間を呼べるようにしました。
事件の修復は「勇気を出して急いで渡る」ことではありません。順番の印を作ること、声を返すこと、怖いときに待てる場所を用意すること。その三つで、橋はまた朝市への道になりました。
向こう岸で残った、あたたかな朝
届けられたパンを食べながら、ポンは最初に選ばなかった道のことも話しました。「あっちにも役に立つ印があったね」。選択は一つでも、ほかの見方を認めると、調査のポッケは広がります。
読み終えたら、次のうち一つだけ話してみてください。
- 自分なら橋にどんな目印を置く?
- ポンが一人で急がなかったのは、どんなところがよかった?
- 白い影を追わず、先に橋を直したのはどうしてだと思う?
遊び方を選び直したいときはおはなしポッケ探検隊へ、ポンのことをもっと知りたいときは森の仲間紹介へどうぞ。次は、耳で順番を見つけることばあそびの池とさかさまの声です。
保護者の方へ:迷った時間も発見に含めます
道を選べないときは、三択を急かさず「最初に見えた色はどれ?」と入口を小さくしてください。順番を言葉にしにくい場合は、指さしや身ぶりだけでも十分です。選び直しを訂正扱いにせず、「別の印も見つかったね」と受け止めると物語の安心感を保てます。
本文、事件の結末、親子の振り返りはここまで無料で完結しています。事件ファイルPDFや会員版の案内を行う場合は、この保護者向け領域より後に置き、橋の途中や子どもの選択中には表示しません。



