年齢別オリジナル

【5歳向け】うそをついた星の子

5歳向けの約束のお話。星の子が事実と違うことを言った理由をトトが二つの聞き方で確かめ、小さな光でも届けられる方法へ直します。

  • トト
  • ココ

読む前の保護者メモ

題名は一度の行動を示し、「うそつき」という人物ラベルにはしません。事実と違う言葉、言いにくかった理由、訂正、影響を受けた相手への連絡、作り直しを分けて読みます。

おはなし

おはなしパン屋では、 夕方の読み聞かせ会に使う 紙の星ランタンを作っていました。

丸眼鏡のトトが紙を折り、 小さな星の子ヒカリが 空から星明かりを集めます。

二人の約束は、 透明びん一杯の光を 日が沈む前に作業台に届けること。

星明かりは火ではなく、 紙ランタンを淡く照らすだけの やさしい光です。

けれど、その日は雲が多く、 ヒカリのびんには 底から指一本ほどしか集まりませんでした。

「これだけでは、役に立たないかも」

ヒカリは、トトにがっかりされ、 読み聞かせ会から外されることが心配でした。

作業台へ行く勇気が出ず、 ほとんど空のびんを 粉入れの後ろに置きました。

トトが尋ねます。

「光のびんは、届きましたか?」

ヒカリは胸が苦しくなり、 思わず答えました。

「うん。いっぱいにして、  作業台に置いたよ」

でも、作業台にはびんがなく、 星ランタンも暗いままです。

トトは、分かっている事実を整理しました。

  • ヒカリは「一杯にして置いた」と言った
  • 作業台にはびんがない
  • 粉入れの後ろから淡い光が見える

言葉と見えていることが違います。

どちらの聞き方にする?

トトには二つの聞き方が浮かびました。

一つは、 「本当に置いたの?」と正しさだけを確かめる聞き方。

もう一つは、 「集めるところから何があった?」と 出来事を順に尋ねる聞き方です。

どちらを先に選びますか。

「本当に?」から始めたら

ヒカリは肩を固くして、 「本当だよ」ともう一度言いそうになりました。

怖さが大きいままでは、 言葉を直す入口が見つかりません。

トトは聞き方を変えました。

「責めるためではないよ。  必要なら一緒に方法を考えたい。  集めるところから教えてくれる?」

「何があった?」から始めたら

ヒカリはすぐには答えませんでした。

トトは急かさず、 ほとんど空のびんが見える場所で 静かに待ちました。

やがてヒカリは、 雲が多かったこと、 少ししか集まらなかったこと、 役に立たないと思われるのが怖かったことを 一つずつ話しました。

先にどちらを選んでも、 トトは最後に「何があったか」を尋ね、 ヒカリが話せる速さを待ちました。

言い直す

ヒカリは粉入れの後ろから びんを自分で持ってきました。

「さっき、一杯にして置いたと言ったけれど、  本当は少ししか集められなかった。  ここに隠していた。ごめんなさい」

トトは、事実を言い直したことを受け止め、 同時に困った影響も伝えました。

「言ってくれてありがとう。  でも、届いたと思って準備を進めたから、  待っているみんなに開始が遅れると知らせよう」

二人は読み聞かせ会の係へ行き、 星ランタンの準備に時間が必要だと伝えました。

ヒカリ自身も、 「集められた量を違って言いました」と説明しました。

係は開始を少し遅らせ、 待つ人が先に本を選べるようにしました。

罰として外すのではなく、 変わった予定をみんなに正しく知らせたのです。

小さな光で作り直す

パン屋へ戻ると、 トトは三枚の丸い鏡を出しました。

びんの小さな光を中央に置き、 鏡を三方向に向けます。

一枚めは左の星ランタンへ。 二枚めは右の星ランタンへ。 三枚めは入口の灯りへ。

小さな光が何度も反射し、 紙の星が三つ淡く光りました。

一杯でなくても、 置き方を変えれば必要な場所へ届きます。

ヒカリは、 隠したときの不安がほどけ、 作り直せたことにほっとしました。

読み聞かせ会は少し遅れて始まり、 三つの星ランタンが静かに照らしました。

終わった後、二人は約束も直しました。

「一杯にする」だけでなく、 集まった量をそのまま知らせる。

足りないときは、 締め切り前に「手伝って」と言う。

トトはヒカリに、 「あなたはうそつきだ」とは言いませんでした。

事実と違うことを言った一回を、 訂正し、知らせ、作り直したからです。

ヒカリは空になったびんを洗い、 次の空にはどれだけ星が見えるか、 今度は集める前にトトと確かめました。

読み終わったら

「言ったこと」「実際にあったこと」「怖かった理由」「直したこと」を四つに分けて話します。正直に言えば何でも消えるのではなく、影響を伝え、予定を直し、できる形で補ったところまで見届けます。

気持ちを手紙でつなぐ前話はココと小さな手紙屋さん、年下向けの約束のお話はこわがりドラゴンのくしゃみです。

保護者メモ

うそを罰や人物ラベルで終わらせないために

安全に関わる事実は大人が確認しつつ、問い詰めるだけでなく「何があった?」と経過を聞きます。理由を理解することは行動をなかったことにすることではありません。訂正、相手への連絡、修復、次の伝え方まで扱います。追加短編集は無料の結末後だけに保護者に案内します。