読む前の保護者メモ
題名の「こわがり」はルル自身の言葉ですが、モコはその子全体の名前にはしません。怖い理由を聞き、我慢ではなく合図と道選びで約束を作り直します。ドラゴンは火を吐きません。
おはなし
モコは、わくわく橋の入口で 小さなドラゴンのルルを 待っていました。
二人は橋の向こうの花園へ、 花の種を届ける約束です。
種は透明なびんに入り、 蓋はしっかり閉まっています。
けれど、約束の時間になっても ルルは来ません。
橋の休憩所のほうから、 小さな音がしました。
「く……くしゅん」
モコが係の人と一緒に行くと、 ベンチの後ろにルルが座っています。
「行きたくなかったの?」
ルルは首を横に振りました。
「行きたい。でも、ぼくがくしゃみをしたら、 種を全部飛ばしてしまうと思ったんだ。 こわがりだから、出ていけなかった」
モコは言いました。
「怖いと分かったから、 準備することができるよ。 来られないときは、まず知らせよう」
二人は約束を 作り直しました。
くしゃみが出そうなら、 ルルは指を三回 とん、とん、とん。
その間、モコが閉じたびんを持ち、 二人とも止まります。
風を避ける短い道
橋には三つの短い道があります。
左は、旗がぱたぱたする道。 右は、花壇のそばの道。 中央は、丸い布アーチの道。
風と花粉が少ないのは どこでしょう。
道に落ちた葉を見ると、 布アーチの内側だけ ほとんど動きません。
二人は中央を選びました。
一つめのアーチを くぐったとき、 ルルの鼻が むずむず。
とん、とん、とん。
二人は止まり、 モコがびんを胸の前で しっかり持ちます。
「くしゅん」
銀色の息の輪が 一つ、 アーチの内側で ふわり。
火も、強い風も出ません。 種びんの蓋も 閉じたままです。
「知らせてくれたから、準備できたね」
二つめ、三つめのアーチは、 ゆっくり歩いて 無事に通りました。
花園では大人の庭師が びんを受け取り、土の上で蓋を開けました。
モコとルルは種に触れず、 庭師がまくのを そばで見ます。
「約束どおり、届けられた」
「遅れたけれど、 知らせる約束も新しくできた」
帰り道、ルルは自分を 「こわがり」とは呼びませんでした。
「ぼくは、むずむずを知らせられるドラゴン」
モコは笑って、 三つの布アーチを 一緒に戻りました。
読み終わったら
ルルが怖かった理由、三回の合図、モコの役割を順に話します。約束は遅れを罰するものではなく、難しくなったときに安全な方法に変えられるものとして結びます。
少し不思議な前話はまほうのどんぐりやさん、4歳向けの別作品はお話一覧から選べます。
保護者メモ
怖さやくしゃみを我慢させないために
怖い気持ちを勇気の不足とは扱わず、理由を言えることを安全行動にします。くしゃみは腕やティッシュで覆い、終わったら手を清潔にします。ドラゴンを脅す存在や失敗者にせず、追加カードは無料の結末後に保護者だけが選ぶ任意資料です。

