年齢別オリジナル

【5歳向け】ココと小さな手紙屋さん

5歳向けの気持ちのお話。ココの手紙屋で預かった封書を、ネムが三つの絵印をたどって届け、言いにくかった気持ちをつなぎます。

  • ネム
  • ココ

読む前の保護者メモ

手紙は、言えない気持ちを隠すためではなく、自分の速さで相手に届ける方法の一つです。配達役のネムは封を開けず、外側の三つの絵印だけで道を探します。

おはなし

どうぶつの広場の真ん中に、 ココの小さな手紙屋さんが開きました。

白い紙、色のついた封筒、 言葉の代わりに道を示す絵印があります。

店の約束は三つ。

  • 書きたくないことは書かなくてよい
  • 受け取った人は返事を急がなくてよい
  • 配達する人は封を開けない

午後、珊瑚色のスカーフをした 子ギツネのリンがやってきました。

手には白い封筒。 けれど窓口に出せず、 何度も持ち替えています。

ココは急がせず、 書く机から少し離れて待ちました。

やがてリンは、 短い手紙を書いて封をしました。

「昨日、友達のミミに話しかけられたのに、  ぼくは何も言わず帰ってしまった」

リンは封書の文面を読み上げずに説明します。

「一人で静かにしたかったんだ。  ミミが嫌いなわけじゃない。  でも、その場では言葉が出なかった」

何も言えなかった自分を思い出し、 リンの顔は心配そうです。

ココは尋ねました。

「この手紙を届ける?  それとも、今日は店で預かる?」

リンはしばらく考え、 「届けてください」と決めました。

配達役はネムです。

外側だけで分かること

ネムは手紙の内容を聞かず、 封筒の外だけを確かめました。

宛先を示す絵印は三つ。

葉の門、水のしずく、ひまわりの屋根。

受け取りの合図は、 ミミが店に登録した月形の印。

「中を見なくても、  行き先と受け取る人は確かめられる」

ココは配達かばんに封書を入れ、 ふたを閉めました。

三つの絵印をたどる迷路

広場には道が何本もあります。

丸石の道はベンチへ。 時計の飾りがある道は時計台へ。 葉の門がある道は花壇の奥へ。

最初の印は葉。

ネムは葉の門を通りました。

次の水のしずくは、 深い池ではなく、小さな噴水の印。

噴水の周りを安全な石道で回ると、 向こうにひまわり色の屋根が見えます。

葉、しずく、ひまわり。

三つを順にたどると、 ミミの家の前に着きました。

ネムはすぐに渡さず、 扉の月形と封筒の月形を比べます。

同じ形です。

「リンさんから、  封をした手紙を預かりました。  今、受け取りますか?」

白いうさぎのミミは、 「受け取ります」と答えました。

ネムは手紙を渡し、 少し離れたベンチで待ちます。

ミミは一人で読みました。

しばらくしてから、 手紙の内容を自分で話してくれました。

「リンは昨日、静かにしたかったんだって。  私が嫌だったわけではないって」

ミミの顔は、困った表情から 少し安心した表情に変わりました。

「返事は今でなくてもいいんだよね」

ネムがうなずくと、 ミミは短い返事を書くことにしました。

「分かったよ。  今度は遊べるか聞いて、待つね」

その返事も封をして、 ネムが同じ三つの絵印を逆にたどります。

ひまわり、しずく、葉。

手紙屋へ戻ると、リンはまだ 窓口のそばで待っていました。

返事を読んだリンの肩が、 ゆっくり下がりました。

「嫌われたと思われたらどうしようと  ずっと心配だった」

ココは二人のために、 次から使える小さな合図カードを作りました。

青い月は「今日は静かにしたい」。 黄色い花は「あとで話したい」。

言葉が出ないときでも、 相手を置き去りにしないための合図です。

手紙は気持ちを全部解決したのではありません。

でも、リンが話す入口と、 ミミが待つ時間を作りました。

ネムは封を一度も開けず、 外側の絵印だけで二つの気持ちをつなぎました。

読み終わったら

リンとミミの気持ちが、手紙の前後でどう変わったかを話します。「今は話せない」「返事を待ちたい」も伝えてよい気持ちとして扱います。

前の冒険はなくしもの森の探検隊、次は言い直しと修復を描くうそをついた星の子です。

保護者メモ

手紙の秘密と安全を守るために

子どもの手紙を本人の同意なく公開せず、危険がある、または助けが必要だと思われる場合は信頼できる大人につなぎます。返事を強制せず、対面・絵印・時間を置く方法も選べます。追加短編集は、この無料の往復と会話が終わった後だけの任意案内です。