年齢別オリジナル

【6歳向け】七つの折り目がある紙

6歳向けの思いやりのお話。トトがパン屋に残された七つの折り目を包装紙と決めず、持ち主へ尋ねて触って読める道案内を直します。

  • トト

読む前の保護者メモ

しわや折り目を「直すべき傷」と決めず、何のための形かを確かめます。視覚障害のある登場人物を助けられるだけの存在にせず、自分の道具の使い方を本人が説明します。

おはなし

おはなしパン屋の窓辺に、 大きな白い紙が一枚残っていました。

紙には七つの折り目。

角には青い糸、 丸い布、ざらざらした布が しっかり縫い付けられています。

トトは最初、 パンを包んだ後の紙だと思いました。

「折り目を伸ばして、  もう一度包装紙にしようか」

けれど、七本は偶然にしては 同じ幅で、順番に曲がっています。

糸と布も飾りではなく、 指で見つけやすい位置です。

変える前の二つの道

一つは重しで紙を平らにし、 包装に使える形に戻す道。

もう一つは形を変えず保管し、 持ち主に用途を聞く道。

平らにした後では、 同じ折り目を正確に戻せないかもしれません。

トトは紙を浅い箱に入れ、 入口に「落とし物」の絵札を出しました。

夕方、子はりねずみのハリが 祖父と一緒に戻ってきました。

祖父は目で細かな道を見ることが難しく、 白いつえと触って読む地図を使います。

ハリは箱の紙に触れ、 ほっと息をつきました。

「これ、ぼくたちが作った道案内です」

七つの折り目の意味

ハリと祖父が説明しました。

最初の青い糸は、パン屋の入口。

一つめと二つめの折り目は、 店を出て安全な歩道を曲がる場所。

丸い布は広場の噴水。

三つめから六つめは、 花壇を避けて月のベンチへ進む道。

七つめの折り目の先にある ざらざらした布が、ベンチの木肌です。

折り目は紙の傷ではなく、 指でたどる道そのものでした。

トトが平らにしなかったので、 道の順番は残っています。

ただし一か所、 青い糸が少しほどけていました。

トトはすぐ直さず、 ハリと祖父に尋ねます。

「同じ糸で縫い直す?  それとも、もっと触りやすく変える?」

祖父は二種類の糸を触り、 少し太い丸ひもを選びました。

「細い糸より、入口だと分かりやすい」

ハリは紙の端に、縫う位置を印で示し、 大人の裁縫係が安全な針で留めました。

トトは店内の机を片づけ、 地図を広げられる場所を作ります。

直った地図を、祖父が指で読みました。

青い入口。 一つ、二つ、丸い噴水。 三つ、四つ、五つ、六つ。 七つめの先に、ざらざらのベンチ。

「これなら分かる」

トトは思いやりについて考えました。

良かれと思って平らにすることが、 相手の大切な情報を消す場合があります。

何もしないで待つことも、 本人に選び方を尋ねることも、 思いやりの行動になり得ます。

ハリと祖父は地図を畳まず、 形を保つ筒形の箱に入れました。

帰りは実際の安全な道を大人と歩き、 七つの折り目が合っているか確かめます。

トトはパン屋の入口に、 触覚地図を置ける平らな棚を一つ増やしました。

誰かの方法を代わりに決めるのではなく、 置きやすい場所を一緒に選んだのです。

読み終わったら

トトが紙を平らにしなかった理由と、祖父が太い糸を選んだ理由を話します。「助ける側が正解を知っている」とせず、本人に尋ねて決める過程を思いやりとして振り返ります。

責任を分ける前話はひとりぼっちの灯台、次は伏線を戻って読む終わらない地図の最後の道です。

保護者メモ

障害や支援方法を決めつけないために

必要な配慮は本人ごとに異なります。「してあげる」前に希望を聞き、道具に無断で手を加えません。白いつえや触覚表示は遊具にしません。追加短編集は無料の物語と修復後に保護者だけが選ぶ任意資料です。