年齢別オリジナル

【5歳向け】月をしまったポケット

5歳向けの推理のお話。月が雲に隠れた夜、ココのポケットだけが光る理由を、空・池・中身の二つの調べ方から確かめます。

  • ココ

読む前の保護者メモ

この物語では、「ポケットが光った」と「月を取った」を分けて考えます。子どもが選んだ調べ方を先に読み、あとでもう一方を確かめると、順番が違っても同じ答えにたどり着けます。

おはなし

夕方のコトノハポッケの森で、 ココは観察池のそばを歩いていました。

池には、丸い月。 空にも、同じ丸い月。

そのとき、道の端に 葉で包んだ丸い物が落ちていました。

包みには銀色のひも。 持ち主の名前はありません。

ココは森の落とし物係へ届けるため、 自分のポケットにそっと入れました。

ちょうどそのころ、 大きな雲が月の前を通りました。

空の月が消え、 池の月も消えました。

ところが、ココのポケットだけが 白くぼんやり光っています。

近くの動物たちが目を丸くしました。

「月が消えたとき、  ココのポケットが光った」

ココ自身もびっくりしました。

「ぼく、月をしまってしまったのかな」

でも、起きた時刻が同じだからといって、 片方がもう片方の原因とは限りません。

ココは、見えたことを三つに分けました。

  • 雲が月を隠した
  • 池の月も見えなくなった
  • ポケットの中が光った

どちらから調べる?

調べ方は二つあります。

一つは、ポケットの中身を先に確かめる道。

もう一つは、空と池の月を先に比べる道。

どちらから始めますか。

ポケットから調べる道

ココは明るいランタンのそばで、 葉の包みをゆっくり開きました。

中にあったのは、 銀色の縁がついた丸い鏡。

鏡の中には白い丸が見えますが、 手で向きを変えると丸も動きます。

「月そのものなら、  ぼくの手で動くのは変だ」

鏡を木の幹へ向けると、 小さな光の丸が幹へ移りました。

空と池から調べる道

ココはポケットを閉じたまま、 雲と池を見比べました。

雲が薄くなると、空の月が戻ります。

同じ瞬間、池にも月が戻り、 ポケットの光は少し強くなりました。

池の水を葉で揺らすと、 池の月だけゆらゆら崩れます。

「本物の月は空に一つ。  池とポケットの丸は、光が映ったものだ」

二つの道を合わせる

先にどちらを選んでも、 最後にもう一方を確かめると 同じ三つのことが分かりました。

本物の月は、雲の向こう。

池の月は、水に映った像。

ポケットの月は、 丸い鏡に映った像です。

そのとき、小さな銀色のガが 空箱を抱えて飛んできました。

「月を見る鏡を落としました。  巣の子どもたちに、月の位置を  知らせるための道具なんです」

銀のひもと箱の留め具は、 葉の包みのひもとぴったり同じ。

ココは鏡の形を説明し、 持ち主だと確かめてから返しました。

ガは鏡を空へ向け、 巣の入口に細い光を一度だけ送ります。

「月を持ち帰るのではなく、  光だけを借りるんです」

ココは胸をなで下ろしました。

最初は、自分のポケットに 月を閉じ込めたかと心配でした。

今は、光の進み方を一つ知り、 落とし物も持ち主に返せて、うれしい気持ちです。

雲が去った空には、 最初からそこにいた月が一つ。

ココは空、池、鏡の順に見て、 「同じに見えても、いる場所は違う」 と覚えて帰りました。

読み終わったら

「分かった事実」と「最初に考えたこと」を分けて話します。ポケットが光っただけで持ち去ったと決めなかったこと、二つの順番で確かめたことを推理の成果にします。

次の証言比較はなくしもの森の探検隊、年齢別の入口は5歳向けのお話一覧です。

保護者メモ

推理を人への疑いにしないために

同時に起きた出来事を原因と結果だと急いで結ばず、観察で確かめます。鏡を太陽へ向けたり、人や車へ反射させたりしないでください。無料の謎と解決は本文で完結し、追加短編集や謎解き本は読後に保護者だけが検討する選択肢です。